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大阪地方裁判所 昭和39年(ワ)2647号 判決

第一 主文

一  被告は原告清原に対し、金三、七九六、二六六円およびこれに対する昭和三九年六月一五日から完済まで年五分の割合による金員の支払をせよ。

二  被告は原告平田に対し、金三四六、二〇七円およびこれに対する昭和三九年六月一五日から完済まで年五分の割合による金員の支払をせよ。

三  訴訟費用は被告の負担とする。

四  この判決一項は仮に執行することができる。

五  たゞし被告が、一項については金三、〇〇〇、〇〇〇円、二項については金二〇〇、〇〇〇円の担保を供するとき、右仮執行を免がれることができる。

第二 本訴申立

「主文一、二、三、四項同旨(自動車事故による損害賠償請求)」

第三争いない事実

一 人傷自動車事故発生

発生時 昭和三八年七月二八日午後二時四〇分頃

発生地 泉佐野市下瓦屋町五八六番地先国道二六号線上センターライン附近

事故車 被告所有の自家用貨物自動車六屯積いすず六〇年式、大一せ三八六四号

右運転者 訴外竹並国次郎

受傷者 (一)、原告清原(自家用貨物自動車ダツトサン六〇年式大四に九三三五号運転中)

(二) 原告平田(右ダツトサン助手席に同乗中)

態様 訴外竹並は右道路を南進中、対向北進中の原告車と衝突、ために原告らは受傷した。

二 責任原因について

(一) 被告はその営む材木商の業務のため本件事故車を運行の用に供している者である。

(二) 被告は当時訴外竹並を自動車運転手として雇用していた。

第四争点

一 原告の主張

(一) 責任原因

本件事故は訴外竹並が時速約四〇キロで南進走行中前方約八五メートル先に原告車がセンターライン附近を対向北進してくるのを認めながら漫然センターライン寄りを進行し、原告車の動向を注視してこれとの衝突の危険を避ける周到な措置をとらなかつた運転上の過失により発生したもので第二の二により、もとより被告は自動車損害賠償保障法第三条により運行者としてその損害賠償の責に任ずべきである。

(二) 損害の発生

1 原告清原の損害

(1) 傷害

右上腕切断、右前胸部裂創兼挫傷、右膝部挫創頭部挫傷兼脳振盪

(2) 療養費 小計金二九六、二六六円

内訳

有本医院支払治療費 二五一、八六六円

右入院中付添費 四四、四〇〇円

(3) 逸失利益 小計金一一、二八三、六五一円

原告は生来頑健で米殻商に従事し、自動車を運転して外交、配達の業務に携わり月収純益一五万円を下らなかつたのが事故により車両の運転も不可能となり、生涯少くとも月額五〇、〇〇〇円、年平均金六〇〇、〇〇〇円あての減収をみることとなつた。そして当時原告は満二八才であつたから平均余命の範囲内でなお三二年は就業可能であるとみるべきであるから、右期間中毎年右金額あての減収をみることとなるべく、その逸失利益の総計の現価をホフマン式によつて算出すると右金額になる。

600,000円×18.80608573=11,283,651円

(4) 慰藉料 金二、〇〇〇、〇〇〇円

治療一一一日を要したほか、右上腕切断により自動車運転等稼働能力を失つたのは勿論のこと未婚の身にとつて、筆舌につくしがたい心身の打撃である。

2 原告平田の損害

(1) 傷害

前頭部打撲症兼脳振盪症

(2) 療養費 小計金六、二〇七円

内訳

吉川診療所支払 三、一〇一円

浜寺中央病院支払 三、一〇六円

(3) 逸失利益 小計金二四〇、〇〇〇円

当時呉服の行商に従事し一ケ月平均八〇、〇〇〇円の収入があつたところ事故療養のため、三八年一〇月末まで三ケ月間休業せざるを得ず、右金額の利益を失つた。

(4) 慰藉料 金一〇〇、〇〇〇円

治療九六日間を要し、受傷部位程度からも右金額が相当である。

二 被告の主張

(一) 被告の無責

本件事故は前方注視を欠いた原告清原の運転上の過失によつて生じたもので被告に責任を生ずるいわれはない。

(二) 過失相殺

仮に被告に何らかの責任があるとしても原告清原の過失は重大で同人の損害は大部分過失相殺されねばならない。

第五争点に対する判断

一 責任原因

後記(三項)判示のように原告清原にも運転上の過失があつたことは見逃せないところであるけれども、ガラス破片の散乱の位置、原告車の被害状況からして、訴外竹並にも原告主張のような運転上の過失があつたことが認められ、免責事由の立証なく被告は原告らに対し自動車損害賠償法第三条による責任を免がれないものというべきである。

なお甲第一三号証の見分調書中の双方の車の走行状況の指示については原告側の立会なく作成されたもので必ずしも全面的に信頼できるものではない。〔証拠略〕

二 損害

1 原告清原の損害

(1) 傷害の内容、療養費については原告主張(第四の一の(二)の1の(1)、(2))のとおり認められる。

療養費 金二九六、二六六円

(2) 逸失利益 金九、一六〇、六一四円

原告は生来健康で事故当時父らと営む米穀商に従事し自動車運転の上広く販路を受け持ち、その自己の稼働能力に対応する分として月五万円の収益をあげていたものと認められる。しかるに右腕切断のため従来の労働能力の八割を失つたものというべく、当時二八才であつたから平均余命の範囲内でなお向後三二年(三八四月)間は右月額を下らない収入を得た筈であるから、その間の得べかりし利益の総計の現価をホフマン式によつて算出すると右の金額となる。

50,000円×229.01535036×8/10=9,160,614円

(3) 慰藉料 金二、〇〇〇、〇〇〇円

原告主張のとおり認められる。

2 原告平田の損害

原告主張のとおり(第四の一の二の2)の事実がすべて認められ、損害合計三四六、二〇七円となる。〔証拠略〕

三 過失相殺

原告清原は時速約四〇キロで衝突前一〇〇メートル乃至一二〇メートル前方に対向事故車を認めながら先行ミゼツト追越後センターライン附近沿いに走行を続け、左側によるなどの万全の措置をとらなかつた運転上の過失が認められる。

しかしながら被告事故車と原告車との危険性の対比などを考慮すると、優者負担の原則から三〇パーセントを過失相殺するのが相当と考える。そうすると、原告清原の損害合計金一一、四五六、八八〇円のうち被告が負担すべき額はその七〇パーセント、金八、〇一九、八一六円となる。

(資料、前示一項に同じ)

四 損害の填補

原告清原は自動車強制保険金として金一〇〇、〇〇〇円を受領しているから右過失相殺後の額から更にこれを差引くべきである。そうすると被告の未済残額は金七、九一九、八一六円となる。

(資料 原告清原本人)

第六結論

そうすると、右損害の未済残額の範囲内での原告清原の本訴請求はすべて理由がある。また原告平田の本訴請求も、右損害発生について原告清原に一斑の責任原因ありとするも不真正連帯債務の関係にある被告に対する全額請求はすべて理由がある。

訴訟費用は敗訴者である被告の負担とし、仮執行に関する宣言を付した。

(裁判官 舟本信光)

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